お知らせ
入江陵介さん特別講演【後編】「目標設定から達成するまでのモチベーションの作り方」
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お知らせ
【後編】
「目標設定から達成するまでのモチベーションの作り方」
入江陵介さんによる特別講演を実施しました
第二部テーマ
「目標設定から達成するまでのモチベーションの作り方」
Q:4年に一度のオリンピックに向けての目標設定や、調整の仕方、思考法を教えてください。
東京オリンピックで泳ぎたい
入江さん:
オリンピックから次のオリンピックまでの間の4年間の過ごし方に非常に気をつけていました。まずは目標設定です。僕は世界大会で必ず表彰台に上がり続けるという目標を立てました。「表彰台に立つことが当たり前」と自分に言い聞かせるとロンドンオリンピックでもその意識で臨めるので、まずは目標を明確にすることが第一でした。
競泳は本当にシンプルで自分のコースを往復する競技なので、基本的に自分との勝負になります。ただそこに相手とメンタル面での駆け引きがあったり、選手によって戦法に特徴がある中で競り合ったりするのが競泳というスポーツの面白さです。世界と戦うにはいろんなレースパターンを持つ、前半から行くパターンや後半追い上げるパターンなど戦法を増やすことも1つの目標としていました。
リオオリンピックではメダルが取れず引退しようかと思う時もありましたが、リオの次が「東京オリンピック」に決まり、東京でオリンピックを開催するのは滅多にないこともあってやっぱり東京の舞台で泳ぎたいと思い競泳を続けました。また2013年の開催地決定から2020年まで、オリンピックの承知活動に参加していたこともあり自分自身が携わった大会に出たいという思いも強く持っていました。東京大会でもメダルは逃しましたが、出場できたことへの喜びはとても大きかったですし次のパリオリンピック出場に向けて新たな目標を持つこともできました。
司会:
スポーツの世界では相手選手と駆け引きすることもよくあるのですか?
入江さん:
スポーツの世界は沢山駆け引きがあります。予選からこの選手すごい調子いいなって相手に思わせる選手もいたり、反対に直前まで力を溜めて決勝だけ全力を出す選手がいたりとか、レースの駆け引きもさることながら精神的なメンタル面の駆け引きもあって面白いです。
Q. モチベーションを維持するために行っていたことはありますか?
今日1日何もしなかった日をなるべく作らない
入江さん:
自身の存在が誰かに対してどう影響するかをモチベーションとして過ごしていました。
若い時はメダルを取れば人を喜ばせることができると思っていましたが、年齢を重ねてメダルを取れないとなるともう自分に価値がないのではないかと思うようになります。それでも「チームのために何ができるだろう」「競泳というスポーツのために何ができるだろう」、「後輩たちのために何ができるだろう」と日々考えながら過ごしていました。最終的な目標はパリオリンピックで金メダルを取ることでしたが、出場してもう 1度日本の競泳を取り戻したい、そのために自分が中心となってチームを引っ張っていきたいという気持ちが最後は一番強かったです。
また背泳ぎの選手がなかなか育っていない状況で僕だけが背泳ぎの代表ということも多かったので、次の世代を担ってくれる選手たちが後輩の中から現れてくれるのを期待していました。そのためにも最後まで自分が引っ張っていくという気持ちをモチベーションにして日々過ごしていました。
あとは「1日1日しっかり目標を持つこと」を競技生活では意識していました。しんどいなと思う時もありますが、今日1日何もしなかった日をなるべく作らないようにして、そういう日々の積み重ねでゴールに向かうモチベーションを保てていたのかなと思います。
司会:
例えばどんな目標でしょうか?
入江さん:
体がしんどくて力が出ない時って必ず来るんですね。その状態でも、今日は無理だ動かないとなるのではなく「今日の練習の2時間だけ、この部分だけはしっかり頑張ろう」と決めて頑張ると「この部分は頑張った」と胸を晴れる1日になります。1日の終わりに今日何もできなかったなと思うよりは「今日ここ頑張れた」と胸を張って夜眠る方が次の日にも影響すると思います。本当に小さいことでもいいので「今日これができた」があるといいのではないかなと、それがモチベーションに繋がるのではないかと思います。
Q:やる気が起きないとき、サボりたい時もきっとあると思います。どのように気持ちを高めていましたか?
まずはプールに行く、そしてしっかりと準備をする、日常のルーティンをちょっと変えてみる
入江さん:
100%じゃなくてもいいからどこかでしっかり頑張るポイントを見つけることを意識していました。僕自身、あまり練習を休んだことがないのですが、1年の中で1~2回ぐらい練習を 休むことがあるんですよ。それは朝起きた時に本当に体が重かったり、今日無理して泳いだらその後1週間引きずるのではないかという状態の時だけ休んでいました。ただ、それ以外のちょっと体がしんどいとか気持ちが入らないという時でも、まずはプールに行く、そしてしっかりと準備をするというのを行っていました。
疲労がたまっている時は準備がおろそかになりがちです。やる気がなくて体が動かない時でもストレッチで体を動かして、しっかり体を作ったうえで練習に行く。意外と行ってしまえばまた気持ちがパッと入ったりしますよね。なんか今日頑張れないかもと思っても水に入ると気持ちが上がってきたりやる気が出てきたり、ここだけは本当に頑張ろうと思えたりするので、まずは動いて100%の準備をすることが大切だと思います。それが目標に向かっていくためにも必要になってくると思います。
あとは昨年冬ごろから、いつもより「ちょっと早く起きて、ちょっと優雅な朝を過ごす」のをコンセプトにしていました。何かに詰まった時ってやる気が出ないことが多いと思うんですけど、スイッチを入れるポイントの1つとして僕はちょっと早めに起きて、朝から豆を引いて、コーヒーを入れて、ちょっとゆっくりする時間を作るというのをしていました。そうすると気持ちが落ち着いて今日も頑張ろうと思えるようになります。ちょっとしたポイントで人って前を向けたり、新しいアイディアが浮かんだりするので是非日常の中でちょっと違うことをしてやる気の入れ方を変えるのもいいのかなと思います。
司会:
ちょっと何かを変えるのであればなんか皆さんすぐ取り入れられそうですね。
Q:競泳選手としての現役生活が終了した後、どのような変化がありましたか?
今はすっきりした気持ちで違う形で競泳と向き合えている
入江さん:
4月に引退会見をして、5、6ヶ月ほど経ちますがその期間、実はほとんど泳いでないんです。多分4回か5回ぐらい、ラフィネグループさんでの競泳教室とかそういう機会に泳がせていただいたくらいで、プライベートで練習することはほとんど無くなりました。
最初の方は慣れなかったです。やっぱり毎日目覚まし時計のアラーム音で起きては朝練かと思う日々から、アラームがなっていても特に何もすることがない日々になっていたので、最初はすごくそれが楽しくてもう何もないんだって思った部分もあったのですが、どこか物足りなさもあって。
今までは競泳の目標や夢があって目標達成のために頑張っていたので、引退してそれらが急になくなってしまった生活になったんですね。それはすごく寂しかったですね、なので途中からなんとなくトレーニングを始めたりもして。
正直この生活に慣れたかと聞かれたら慣れてないと思いますが、ただ自分自身やりきれるだけやりきることができたので、今はすっきりした気持ちで違う形で競泳と向き合えています。実は今度出場するハーフマラソンで完走するという目標を決めて、今はまたトレーニングを頑張っています。
Q:これからの目標や夢は何ですか?
競泳の魅力、楽しさを幅広い世代に伝えたい
入江さん:
将来的にはスポーツが与えてくれるものをいろいろな人に伝えていきたいと考えています。
今は日本競泳連盟のアスリート委員として競泳教室やトークショー等をさせていただいているので、今後も活動の幅を広げてさまざまな土地でジュニア選手~お年寄りの方にまで競泳の魅力や楽しさをどんどん伝えていきたいと思います。
そしてスポーツ界全体をより良いものに発展させていける、そういった立場になれるよう成長していきたいとも思っています。
Q&A
ラフィネプリュス イオンモール浜松志都呂店
セラピスト:
入江さんはお休みの日に疲れを取るためにしていることはありますか?
入江さん:
お風呂に入るのが好きなので入浴剤を入れてゆっくりYouTubeとかドラマとかを見て、水分を取りながら半身浴するのが結構自分の中のリフレッシュ方法になっていますね。
あとは朝走ったり体を動かすと意外とすっきりしたりメンタルがリセットされたりするのでおすすめです。
ラフィネ 金沢エムザ店
セラピスト:
入江さんはリラクゼーションを受けることはありますか?
また、リラクゼーションが怪我の予防とか回復につながると感じた経験はありますか?
入江さん:
実は定期的に受けています。
体をリセットするためにリラクゼーションはすごく大切だと思っていて、体や足が凝り固まってしまうと姿勢も悪くなる、そうすると考え方も下向きになってしまうことがありますが、体のケアやリラクゼーションをすると、明日きっと体が軽いだろうと思えて、体やメンタルのリセットにも繋がるので僕自身も定期的に体をほぐすようなことは行っています。
幕張温泉 湯楽の里店
セラピスト:
筋肉の維持をするうえで特に意識して取り入れていたトレーニングはありますか?
入江さん:
体作りの基本としてトレーニングは普段から行っていました。水中練習は月曜日から土曜日に、そしてウェイトトレーニングを週に2回ほどしていました。練習前にストレッチして補強や体幹と言われるトレーニングを比較的多く取り入れて自分自身の体作りをしていました。
ロンドンオリンピックぐらいまではウェイトトレーニングはしていなかったのですが、若い時と今の体ってやっぱり全然違って年を重ねるごとにトレーニング内容にも変化が必要になってきます。同じ強さをキープするために、いろんなことをチャレンジして変化させていくことを意識してきました。
ラフィネグループ社員:
たくさんの種目がある中で背泳ぎに決めたのはなぜでしょうか?
入江さん:
小学校低学年の時はずっとクロールをしていましたがなかなかうまくいかなくて、選手クラスの中で 1番下のレベルでした。高学年ぐらいから少しずつ2種目を泳ぐようになった時に背泳ぎの方が順位が良くて、背泳ぎの方が合っているかもと思い中学校に上がったタイミングで背泳ぎ1本にすることに決めました。
司会:
周囲への感謝の気持ちを忘れないことを大切にされていると伺い、感謝の気持ちを普段から持ち続けるのは難しいことだと思います。入江さんの思考法を伺いたいです。
入江さん:
高校生の頃から座右の銘として「感謝の気持ちを忘れない」ということを大切にしてきました。人は1人では生きられなくて、いろんな人がいて自分自身が形成されるのではないかと思います。もちろん周りに気が合ういい人ばかりがいるわけではないと思いますが、そういう人と出会ったとしても、反面教師的にある意味1つの学びをいただきありがとうございます、といった気持ちで接するようにしています。どんな人に対しても感謝の気持ちを持つことは大切にしてきました。それに、試合に勝った時や負けた時に一緒になって同じ感情になってくれる人は貴重な存在なので、特に身近にいる人に対しては感謝の気持ちを忘れずに日々過ごすようにしていました。
幾多の大会記録を持ち長年日本の競泳界を引率してきた入江陵介さん、彼が競泳・背泳ぎと出会った始まりのエピソードやアスリートとしての経験談、その経験を通して培ってきたメンタルの保ち方から、入江さんの芯の強さを改めて感じられる講演となりました。
ラフィネグループはリラクゼーションにおいて人々の健康を守る企業として、これからも入江陵介さんをはじめ幅広い世代のお客様、そして働くセラピスト達の健康と活躍をサポートしてまいります。
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